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第140回
 鈴木ジブリがまた問題を起こしている。案の定、今回も倫理的な問題だ。アニメの内容ではない。鈴木プロデューサーのやり口のことである。 
 トラブルメーカー鈴木氏がプロデユースする来年公開予定の宮崎駿作品、『崖の上のポニョ』に盗作の疑いがかけられている。
 ポニョとは金魚らしいのだが、NHKの番組「プロフェッショナル」の特番で宮崎駿氏が登場し、今度は魚を主人公にしたアニメを作ると発表、その制作現場が紹介された。
 筆者は最初それを見たとき、ディズニーの『ニモ』とダブったが、そうではない別の問題が裏で生じていたようだ。

 番組途中で鈴木プロデューサーが登場し、「宮さんは、ヒロイン金魚を“金魚姫”とお呼びになっています♪」と発言したが、じつはこれ、名倉靖博氏の劇場アニメ企画『金魚姫の銀魚姫なココロ』の完全なパクリだという。
 設定もほとんど同じで、問題なのは、名倉氏が元ジブリの作家で、そりが合わずにジブリを辞めた人間だったということだ。
 さらに言うなら、『金魚姫の銀魚姫なココロ』は、既に劇場公開アニメとして企画進行中だった点である。そうなると、これはパクリというより、嫌がらせ、いや元ジブリ作家アニメ作品の潰しの疑いが出てくる。

 しかし、名倉氏は殆ど無名の作家だ。となると全マスコミや経済界はジブリ庇護で一本化するだろうし、強いものにあやかろうとするジブリオタクは、盗作問題などは嘲笑しながら黙殺し、膨大な数の主婦連合親衛隊はジブリを応援して結束する。そんな姿が何となくイメージできる。
 天下の宮崎駿氏とバッティングするぐらいなら、弊社はレースから降りますというのが、昨今の縮みっぱなし日本人気質というものだ。おそらく名倉氏のアニメを企画していたアニメ会社などは、間違いなくジブリ人気を怖がって企画を放棄してしまうのは目に見えている。不正に立ち向かう気概や気骨のあるような人間は今の日本には殆どいない。
 あるいはこれは、ジブリを去った作家に対する鈴木氏個人の嫌がらせというか、復讐と言ってもいいのかもしれない。

 名倉氏は、『金魚姫の銀魚姫なココロ』のアニメ設定書を記した本、『名倉靖博の世界』(ソフトバンククリエイティブ)を発行し、それを古巣のジブリへ何冊か送っておいたという。今を思えばこれが間違いの元だったのかもしれない。
 それを鈴木プロデューサーが見て、宮崎駿氏に面白いアイデアがあると持ちかけた可能性があるからだ。

 『ゲド戦記』では限りなく詐欺商法に近いやり口で大成功した鈴木氏である、パクリや盗作程度なら屁でもないだろう。
 ジブリを去った作家が制作した『時をかける少女』を、あれほど目の敵にした鈴木氏である。今度も元ジブリ作家に対し、復讐ともいえる嫌がらせを御神体の宮崎駿氏を担ぎ出して展開したとしても決しておかしくない。
 イタチは死ぬまでイタチだし、ネズミは死ぬまでネズミなのだ。
(07/04/30)
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