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 ついに「スタジオ・ジブリ」に鉄槌が下った。
 「週刊文春」(文藝春秋社)の1月25日号で、「文春きいちご賞」が発表されたからだ。
 賞といっても、名誉ある賞ではなく、最悪の映画作品に贈られる不名誉極まりないブーイング賞のことだ。だから、「2006年のダメ映画はコレ!」のタイトルがぶち上げられている。
 アメリカでも「ゴールデン・ラズベリー賞」という糞作品に贈られる不名誉な映画賞があるが、文春のそれはラズベリーをもじったものである。
 その栄えある最悪の映画に、現在も鈴木プロデューサーが優秀作と豪語してやまない『ゲド戦記』が選ばれたのである!!

 その糞作品を監督したのは、鈴木プロデューサーが選んだ素人監督である宮崎吾朗氏である。鈴木プロデューサーが素人を選んだ理由は不明だが、その理由が、宮崎駿氏の息子なら社員が黙ってついてくるとか、DNAは遺伝するとか、サプライズ人事で小泉効果を狙ったとかいう程度なら、全くの阿呆である。

 前回でも指摘したが、TV局はジブリに逆らわない。それだけではない、ジブリと提携する大型スポンサーの目が怖いのである。そのため、『ゲド戦記』に難癖をつける真似だけは絶対にしないのだ。他局とて同様である。
 その最大の理由は、本当のことを伝えて、もし『ゲド戦記』の興行成績が落ちると困るからだ。
 たとえ子供に将来どんな悪影響を与えるかもしれない作品でも、スポンサー様のためなら黙殺し続ける。これが日本のTVジャーナリズムの正体だ。
 「発掘!あるある大事典U」を、まるでよそ事のように報じる、他のTV局の気が知れない。あんなことはTV界ではあたり前だからだ。目くそ鼻くそを笑うで、先々、己の身に降りかかってくるだろう。

 女性週刊誌も同様だ。女性読者を相手に、もしジブリに難癖をつけようものなら、「ジブリ神話」の狂信者が圧倒的多数の婦人層に総スカンを食ってしまう。ヨン様にイチャモンをつける真似をしないのと同じで、どこも地雷を踏みたくない。
 筆者の知る限り、『ゲド戦記』を正当に評論したのは、yahooの映画サイト、一部のラジオ番組、男性誌、新聞だけである。TV局は全て見て見ぬ振りをして自粛、あるいは黙殺した。
 一番黙殺した局は、ジブリと二人三脚の「日テレ」であることはいうまでもないが、ジブリのオフィシャルサイトも完全黙殺した。膨大な数の不満を持つ人たちが掲示板宛にメールを送っても、それが載ることは絶対に無く、鈴木プロデューサーの言葉を借りれば、そんな数はたった数人に過ぎないことになる。

 ちなみに、2位が『日本沈没』である。
 ここで、最近の日本映画に警鐘を鳴らしておきたい。世界に通用しない映画を、莫大な資金を借りて作っているからだ。やがてそっぽを向かれるのは必然で、その最大の問題はTV局が映画制作のバックについていることだ。
 素人には分らないかもしれないが、戦争のシーン一つをとっても実にTV的で、歌舞伎を観ているようだ。要は、TVの様式美で制作されているのが丸見えなのである。これならアニメ映画しか世界で通用しないのがよく分る。
 今年、邦画収益が洋画を抜いたとして大騒ぎをしているようだが、必ず急降下するだろう。今、メディアミックスの最悪のパターンが日本で起きている。
(07/02/10)
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