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| 第102回 |
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飛鳥堂には結構立派な「図書室」がある。
膨大な数の書籍が収納されていて、分野的にはほとんどの部分がカバーできている。
漫画家としての立場から言えば、どのような分野の作品を描く場合でも、すぐに取り掛かることができるだろう。おそらく簡易の「私設図書館」としてオープンしても立派に通用するかもしれない。
これらの膨大な資料は、筆者の様々な仕事に利用される。
徒歩5分の所にも立派な市立図書館もあるが、ほとんどの場合、飛鳥堂の図書室だけで事足りる。
最近ではインターネットも資料として活用されるが、即効性の資料としてなら有効だろうが、本当に深い部分まで知るにはインターネットでは物足りない。
もっと専門的な資料が必要な場合は書籍が最も適しており、特に図鑑に関しては著作権の関係もあって、書籍でしか手に入らないものが圧倒的に多いのである。
特に絵で表現する漫画家には写真は不可欠で、背景描写に写真と図鑑は欠かせない。有名な漫画家や劇画家の仕事場に行けば、素人は必ず保管されている資料在庫の多さに驚くはずだ。
元々、筆者が図書室を設けるようになった理由も、漫画の背景を描くための図版、図解、写真が必要だったからだ。多くの漫画家が図書室を自前で持っているのもそのためである。
特に筆者の場合、漫画だけでなく他の分野の仕事も多いため、資料として収集する書籍の数と分野は更に広範囲になる。
江戸川乱歩の資料収集癖は最も有名で、池袋にあった乱歩の自宅には土蔵が図書室の役目を果たしていた。いや立派な私設図書館と言っていいほどの規模だった。
1970年代の出版界で一世を風靡し、漫画文化と怪獣文化に貢献した〈OH〉こと大伴昌司も、自宅に膨大な量の図解、図鑑、書籍を溜め込んでいた。
大伴氏はそれらの資料を貪欲に食い尽くしながら、自分の体内で熟成発酵させ、大伴流の文化として吐き出したのである。
その成果は凄まじく、円谷プロの怪獣番組を一気にメジャー化させるのに貢献し、「週刊少年マガジン」のカラーグラビア企画も毎週担当し、史上初めて少年漫画週刊誌を100万部台にもっていったのである。
最近の出版界の沈滞ムードは、不況もさることながら、若い人たちの活字離れが原因とされている。
現在のように携帯電話が普及し、インターネットが発達して、一人住まいのワンルームマンションに本を収集する場所も無い現状では、昔のように本を収集するような人はどんどん少なくなっている。
その代わり、ネットが人生の全てで、物事を広く浅くしか理解できない人も増えてくるのだが、それはまた今回とは別の話である。
筆者は、今までに数多くの映像も資料として収集してきたが、VHSテープの容積があまりにも大きいため、収集する棚が追いつかず、資料としても一覧し活用するには様々な面で不向きだった。
そのため、どうしても書籍と比較した場合、VHSテープに収録した映像は活用の面で書籍より一歩も二歩も引けをとらざるを得なかった。
ところが、ここにきてHDD&DVDレコーダーの時代が到来したため、一気に資料として分類がしやすく、キャパの面でも活用の面でも桁違いにやりやすくなった。
漫画家の石ノ森章太郎(故)の仕事場&自宅にあったVHSテープ専用図書室は、漫画界で有名な話だったが、筆者と全く同じ悩みがあったと聞いている。
どんどん溜まる資料に容積が取られるばかりか、分類がしにくく、捜しにくく、必要な場合に頭出しでも時間がかかる・・・・・。
ところが、ようやくここにきて、筆者が過去に収録しておいた膨大な量の映像記録が、DVDによって無駄にならない時代が来たことになる。
たとえカビが生えたテープでも、カセットの蓋を開けて、できるだけテープを蘇らせてくれるというので期待もしているが、中にはどうしても再生不可能なテープも出てくるだろう。
しかし、とにかくDVDへのダビングの際に一度だけ使えればいいのである。使った後どんどん捨てていけば、テープで一杯の倉庫は一気に空になっていく。
DVDを分野別にまとめ上げ、ナンバリングして、何処に何があるかをライブライされていれば、一発で頭出しも出来るので資料として大いに活用できるだろう。■
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