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第88回
 今回、7月16日から17日まで、京都に祇園祭りの取材を行った。
台風が関東に接近するなか、東京駅を午前九時すぎに新幹線で京都に向かうことになるため、東海地方に接近する台風はいやが上でも気になった。

 過去、京都で祇園祭りが中止になったり順延したという例は知らないが、こちらが新幹線のなかに閉じ込められることは十分にありえることだった。
 私と同じく、ム−の担当編集者とカメラマンも、新幹線が途中で台風に遭遇してストップしてしまうことを心配した。

 幸いなことに京都まで台風と出くわすことなく無事に到着したのだが、昔なら「台風一過」といえば、台風が通過したあとは真っ青に晴れ上がったものだが、京都の空はどんよりとした曇り空だった。

 台風が太平洋高気圧の弱体化から南へ下りてきて、梅雨前線を刺激したということだったが、確かに梅雨時期の台風の連続大接近は異常だ。

 そういうなか、16日の分の取材は無事に終えたが、その夜に京都直下の地震が起きて肝を冷やした。

 翌朝7時半頃、変な音で目が覚めた。

 二条通りを走る車の音がいやに「シャアアア シャアアア」という音を立てて走っているのだ。まさか台風の翌日も雨ということはないだろうと思ったが、少しだが降ったらしい。

 しかし、その雨も上がったようなので我々は安心し、祇園祭りの「クジ改め」や「しめ縄切り」を取材するため、8時にはホテルを出た。

 ところがである、天空にわかにかき曇るや、まるでバケツの底を抜いたような豪雨が襲い、凄まじい雷が鳴りはじめたのである。

 さすがはスサノオ命を奉る「八坂神社」の祇園祭りとは思ったが、台風、地震、豪雨、雷とくると少々心配になってきた。

 ところが、長刀鉾が登場し、稚児が人間浄瑠璃のように大人に手を貸してもらいながら行う、真剣で綱を切る頃になると、さしもの雨も嘘のようにピタリとおさまってしまった。

 こうして鉾と山が巡行しはじめたのだが、「コンコンチキチ コンチキチ♪」という非常にゆったりとしたお囃子のなか、全部で32基の山鉾が練り歩いていった。
その後、じつは何度も大雨が降ったのだが、何とか最後まで無事に取材を終えることが出来た。

 ところで「祇園祭り」というのは、17日の山鉾巡行だけをいうのではない。
ほとんど7月になると祇園祭りが始まっていると思えばよく、7月一杯までは祇園祭りの関係行事が「八坂神社」で行われていると言ってもいい。
 
 事実、山鉾巡行の後も、夕方に「八坂神社」の境内へ赴くと、「中、東、西」組のキンピカの大神輿が威勢良く担ぎ出される。

 物凄い人出のなか、まず中神輿が勢い良く大舞台から飛びだし、境内を三周して門を潜って外へ出ていった。

 その次、東の大神輿の番になるのだが、大舞台から下りてくるや何やら人々の様子がおかしい。

 無数の人の頭の上から顔を見せる神輿の様子が何やら変なのだ。

 その時、私は気付いた。神輿の頂上にある「宝珠」の姿が無い!

 それはまるで首のない人間のような感じを与え、神輿は人ゴミのなかでじっと動かない。
その内、梯子がやって来て、氏子が下に落ちた宝珠を付けに神輿へと登っていったが、おそらく大神輿の上を大舞台の梁にぶつけて下に落としたと思われる。

 こういうことは、村神輿ですら起きないことで、それが京都の祇園祭りの総本山ともいえる「八坂神社」で起きたことは非常に縁起が悪いことになる。

 大勢の氏子たちがこう囁いているのを聞いた。
「これは縁起が悪いで」
「落ちたんは東か・・・・・東で何かあるな」
「東京やな」
「京都やあらへん」
「宝珠は大地や、怖いでぇ」
「東京で大きな地震があるかもしれへんな」
「富士山かもしれん」
・・・・等々。

 今回の京都行きは「台風・地震・雷・豪雨・首落ち」というとんでもない取材となった。
「月刊ムー」の「ムー新聞」でも取り上げられるだろうが、滅多に起きないことがまとめて起きた祇園祭りの意味は、案外日本の先行きを暗示しているのかもしれない。
(02/07/19)
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