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第73回
 私はCDやMDの世代ではなく、あくまでもレコード世代である。

 レコードと言っても御存知ない方がおられるといけないので念のために説明させていただくと、黒い合成樹脂の板に溝が彫ってあり、そこにプレーヤーの針を乗せて回転させることで音を再生させる円盤のことをいう。

 正式にはレコード盤と呼ぶが、レコードの色は黒以外にも赤色、黄色、中には半透明状の物もあったが、ほとんど不透明の黒色だった。
 プレーヤーとは再生機のことで、レコードを乗せる回転盤と、内在スピーカーを持ち、アームの先にサファイヤやダイヤモンド等の小さな針がついていた。

 我々の世代は、ほぼ一夜にしてレコード店がCD店に入れ替わった時のショックを忘れないだろう。
 全国で一斉にレコード店がCD化したのは、1985年頃だったはずで、ほぼ数カ月でレコードはこの世から去った。
 同様の激変はLDがDVDに一夜にして入れ替わった1999年にも起きている。
   
 話を戻そう。
 じつは同じレコード世代とはいっても、これがまた一様ではないのだ。
 大体レコードを再生する回転数によって戦前派と戦後派が大きく分かれてくる。
 私のような戦後団塊の世代でレコードの回転数といえば、45回転か33回転のどちらかでしかない。 ところが戦中戦前世代は何とこれが78回転なのだ。

 ここで少しレコードの説明をするが、小さなレコードをSP盤、大きなレコードをLP盤と言った。特にSPをドーナツ盤とも呼び、SPが値段も安く最も流通していたサイズだった。
 そのどちらもの特徴は、今のCDとは違って裏表両面に音楽が収録されていたため、引っ繰り返して音楽を楽しんだ点である。
     
 その収録曲も裏表で2曲しか無く、その分だけ早く回転(45回転)させることが出来たため音域はLPよりも優れていたような気がする。

 LPはLD(レーザーデスク)とほぼ同じサイズで、回転数は33回転で遅めだった。しかし曲はその分だけ多く収録されていて、裏表で十数曲は入っていた。

 じつはその中間のレコードとして、SPサイズで33回転という物も出ていて、裏表で4曲ほどが収録されていた。

 この私のレコード世代より前の世代が78回転世代で、レコードのサイズはLP寸だが、裏表で2曲しか収録されていないのだ。
 その謎は回転数にあり、とにかく回転数がやたらと早いのだ。おそらく録音技術が発展途上だった為、回転数を上げて収録することで、再生音を少しでも原音に近づけようとしたからだろう。

 レコードの材質も戦後は薄くて柔軟性のある物だったが、戦中戦前の材質は厚くて重く、上から圧力が掛かったり落とすだけで割れるような代物だった。

 この世代はプレーヤーの代わりに、巨大朝顔のような金属ラッパの付いた蓄音機という再生機を使った。
 重厚な箱の横に付いていたハンドルを回すと、箱の内部のゼンマイが巻かれ、金属製の針を乗せると円盤が回転する仕組みだった。
 それ以前の明治時代では、蓄音機のことを蘇音機と呼んだというから、時代は結構昔まで逆上れるようだ。

 しかし、現代のCDもMDも、大体の1曲の時間が3分少しなのは、この蓄音機のゼンマイが3分少しで切れてしまうところから来ているのだ。
 つまり明治時代の蘇音機が、未だに大きな影響を与えているということだが、私の作品も先代からの知恵が結晶したものなら、私の作品もこれから先に何かで影響を与えていくものなのだろう。それを思うと作家としては感無量のものがある。
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