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※井上円了著「天狗論」より
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日本の妖怪 
天狗
 昔から、祭のお面に欠かせないのが「天狗」である!

 般若、ひよっとこ、おかめ、鬼、その他奇妙で不可思議なお面が奉納祭や夏祭などで使われ、時には子供用の合成樹脂のお面として夜店にも並んでいた。
 今ではス−パ−戦隊や少女ヒロインに押され、夜店の陳列棚から絶滅してしまったが、私の子供のころは「月光仮面」や「まぼろし探偵」と共に、天狗のお面も立派に並んでいた。

 それを親に買ってもらい、散々遊んで古くなると、最後には天狗の鼻だけ切り取って、そこにお茶を注いだりして飲んでいた。
 ところが、鬼の面だけは色も様々だったが、なぜか天狗の面だけは赤色だけだったのが、何とも不思議だった。

 そこで天狗を何に分類するかだが、幽霊ではないようなので、やはり妖怪ということになるのだろう。しかしだ、そう単純にいかないのも天狗なのだ。

 天狗は「記紀神話」の頃から存在するという説がある。
 それが背丈七尺(2メートル10センチ)で、鼻の長さ七咫(約12センチ)という「猿田彦」のことである。そして真っ赤な頬をした国神として扱われているのだ。

 猿田彦といえば、神武天皇の東征に協力した神として記されているが、八咫烏も猿田彦に負けず劣らず神武天皇に協力している。
 じつはここに猿田彦を天狗、八咫烏を烏として、両者一つに重ねると「烏天狗」が誕生する!

 さらに言うと、神武軍の敵の長随彦に悪戦苦闘中だった神武天皇の弓に、天空から舞い降りた金色の鳶が止まったとされるが、何とそれが天狗だったという説がある、 なぜ天狗かというと、神武天皇が金鳶に何処の神かと聞いたところ、「天照大神の命令で鳶になりましたが、山城の国の怨児〔あたご〕の山に住みたい」と申したという箇所が残されているからだ。
 つまりそこには鞍馬山の近くであり、後に鞍馬山は烏天狗が住む聖域になっていくのである。

 さらに時代が進み平安末期になると、源義経が幼少の頃に牛若丸と称して鞍馬山にこもり、そこに住む烏天狗たちから兵法を学ぶ物語が生まれてくるのだ。

 そして大正13年(1924年)、幕末の嵐が吹きすさぶ京都を舞台に、神出鬼没の大活躍をする時代劇ヒーローが登場する。鞍馬天狗である!
 『鞍馬天狗』は、大仏次郎の時代劇小説で、後に嵐勘十郎が映画で大当たりを飛ばすことになるが、その元が記紀神話にあることを知る者は少ないだろう。

 ところで天狗と言えば、烏天狗も含めて必ず”山伏姿”であることに注目しておく必要がある。そこに天狗の正体をつかむ鍵が隠されているからである。
 たとえば、山伏といえば必ず頭に「頭巾〔ときん〕」という黒塗りの小箱を結び付けているが、これが”六角形”なのだ!
 中には円形もあるようだが、昔に逆上るほど六角形をしてくる。

 頭巾は別字で「兜巾」とも書くが、ユダヤ人も同様の黒塗りの小箱「フィラクテリー」を頭に乗せていることは有名だ。
 同様のことはラビ・トケイヤー氏も指摘するが、彼は円形の頭巾しか見ていないらしい。

 他にも、山伏は「法螺貝」を吹くが、ユダヤ人も「ショーファール」という羊の角の笛を吹くし、山伏は「房」を首に巻き付けて下に垂らすが、ユダヤでもレビの祭司は宝石の付いた「胸当」を首から垂らしている。
 さらに天狗は「虎の巻」を手に持っているが、シナイ山に登った予言者モーセは、神から奥義を授かり、それがやがて「トーラ」という巻物になって伝わっている。

 ”奥義”と言えば、別に洒落のつもりはないが”扇”と同じ読みである。 
そして天狗は必ず「扇」を手に持っている!

 これらのことから、ただの妖怪だった天狗のルーツが、記紀神話どころかグローバルな見地まで意味が拡大していくのである。

1:ろくろ首 2:提灯小僧 3:天狗 4:鬼 5:一つ目小僧
6:河童 7:九尾の狐 8:鵺(ヌエ) 9:猫又 10:龍
11:のっぺら坊 12:人面樹 13:足洗い屋敷 14:狸 15:送り拍子木
16:灯りなし蕎麦 17:片葉の葦 18:おいてけ堀 19:落ち葉なしの椎

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1:ろくろ首
2:提灯小僧
3:天狗
4:鬼
5:一つ目小僧
6:河童
7:九尾の狐
8:鵺(ヌエ)
9:猫又
10:龍
11:のっぺら坊
12:人面樹
13:足洗い屋敷
14:狸
15:送り拍子木
16:灯りなし蕎麦
17:片葉の葦
18:おいてけ堀
19:落ち葉なしの椎
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