◆『刑務所の中』  
画であるが一種文学(私小説?)に近い『刑務所の中』(講談社)である。
2003年に映画になったので御存知の方もいるかもしれないが、作者(花輪和一氏)の自叙伝を本人が漫画化したものだ。
それだけに刑務所という堀の中の描写がリアルで、「へぇえ!」と思わず感心させられること多数。
本当にこんな世界とは知らなかったと、本人は別の日本にきた感じだっただろう。
絵は「へたうまガロ的絵柄」だが、それだけに味が出ていて親しめる。
これがアニメ的清潔画風だったら、それこそ完全に浮いてしまって人間味も糞も無いだろう。
刑務所の中にも“血の通った生きた人間がいる”ことを改めて教えてもらった次第。
その意味では確かに花輪氏は漫画家ではなく絵師である。
本人の罪状は「拳銃不法所持」で懲役三年の実刑(執行猶予無し)というもの。
そういえば昔、『8マン』の桑田次郎氏も同じ刑で刑務所に入っていたが、今では山中に篭ったまま宗教家になっている・・・・・。■

 
NO.70