◆『東京消えた町角』
回のお勧めは『東京 消えた街角』(河出書房新社)である!
写真家の加藤嶺夫氏が、昭和40年代と50年代の東京を、一部60年代初期と平成初期を含めて撮影した、今は無き東京の姿をまとめた写真集である。
西暦に置きかえると1965年〜82年の約20年ほどの東京の姿だ。
ちょうどバブルで東京の街が激変していく時代で、貴重な古きよき時代の東京が残されている。
今のようにコンクリートの塊ではなく、温かみのある木造家屋が立ち並ぶ姿は、見ていても心が和んでくる。コンクリートの家で育った子供は、何か大切なものを失って育っていくという分析と共に、コンクリートマンションで生活している人は長生きしないデータもあるとか・・・・。
驚くのは明治通りが舗装されてなかったり、(そういえば石原裕次郎のナイスガイ映画でも舗装道路じゃなかった)、木場に材木が集まっている写真等があることだ。
今でも、美智子妃殿下の旧正田家を壊し、その土地を売ってしまうことに躊躇しない。正田家は西洋館風の文化的にも残したい建物だ。壊れる危険性があるというのは全くの嘘。あれで壊れるのなら日本の家の半分は壊れる寸前だ。
文化や権威の継承というものをこの国は全く無くしてしまったようだ。だから明治・大正・昭和初期の時代の映画撮影を、わざわざ中国に高い金を払い、上海で撮影せねばならなくなるのである。■





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