◆『富士山』
回は、“平成のサザエさん”と称される「ちびまるこちゃん」の作者、さくらももこ女史が編集した(本当は協力)『富士山』(新潮社)である!
季刊発行で全部で4冊(2000年1月〜12月)発行されたMOOKだが、全冊購入した。
「描きおろし」や「綴じ込み付録」もあって中々ファンには楽しめる。
できれば何年もつづけてほしかったが、こういう不況下では仕方が無い。20世紀最後の一年を飾った本だった。
このコーナーの最初でも紹介した「わしズム」(小林よしのり氏責任編集)も同様の形態といえる。
漫画家もヘタウマの方が味が出ていいという感覚は、私の子供の頃には全く無かったものだった。当時は「綺麗・丁寧・上手」が漫画の王道だったし、それにそぐわなければ絶対に本に載らなかった。もっと上手くなってから出なおしておいでの門前払いである。
ところが、1970年代に『ガロ』(青林堂)がヘタウマ文化を生み出し、その後、『週刊少年ジャンプ』(集英社)が当時の下手な二線級漫画家を使って大メジャー誌になるにつれ、見かけでは駄目、中身が面白ければよいという形に移行していくのである。
実際、ヘタウマとはよく言ったもので、両氏ともじつに美味い味を出している。■   

追記:『富士山』5号が2002年10月に刊行された。再びこの本が読めることになったのは嬉しい限りである。





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