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飛鳥昭雄の漫画家人生
第9回  戦艦沈没
 たしか小学六年生の頃、学校から皆で観に行った美術展で「嵐の海岸」というような力強い海の絵に魅入られたことがある。

 それは闇夜の海岸を描いた油絵で、大波が岩に当って飛沫が上がっている不気味な絵だった。

 私は、中学一年生になった時、その絵のイメージを更に膨らませた自分なりの海の絵を描いた。当時の私は油絵というものを知らなかったため、展示会で観た油絵のような色を盛り上がらせる方法として、水彩絵の具をそのままチューブから押し出し、ボール紙(厚紙)に広げて質感を出した。

 軍事基地を囲む闇夜の海で、アメリカのミサイル潜水艦が旧ソ連の潜水艦を撃沈する絵を描いたわけだが、当時は米ソの対立が激しく、いつこういう事態に陥ってもおかしくなかったのだ。

 この頃から私は、漫画家として最終的には国際情勢を描く世界観を目指していたようにも思える。そういう小説を読み漁っていたこともあるが、そういうカッコよさを目指していたきらいがある。

 だが、当時の知識では全く不可能なことだった。だから当時の私は手塚漫画の跡追いをするしかなかったのかもしれない。リアルな漫画を描きたい・・・その思いは、やがて「漫画+リアル世界」という今の奇妙な飛鳥漫画の世界の構築へとつながっていく。

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