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飛鳥昭雄の漫画家人生
第8回  ほえろジャングル
 中学一年生の頃に描いた漫画で、「ほえろジャングル」というのがあった。前回の「宇宙少年ポロ」とは違う作品だが、主人公は同じポロという名前だった。

 確か「宇宙少年ポロ」の後で描いた作品だったはずで、だから主人公の名前が同じなのである。

 当時、東映動画が制作した「狼少年ケン」というアニメ番組が大ヒット中で、その影響を受けて、宇宙物からジャングル物に乗り換えて筆を取った次第。

 舞台はアマゾン、そこでポポというフクロウ博士の研究所があり、ポロという熊の主人公がいて、食べ物を集めにエアーカーで走る途中、現地人がゴリラに襲われるのを助けるが、急に現れた白人とロボットに囲まれる・・・というドタバタ。

 それも難なくやっつけて、さて謎の銅像へ・・・・というところで“つづく”とな
る。そして、いつものように二度とつづきが描かれることはなかった。何も先を考えていなかったからである。

 これを無駄と解釈するか、後の肥しととるかは自由だが、私自身は確かに肥しにはなったと思っている。だが、非常に高くなった肥しだった。

 この当りばったりの制作態度は、それからも誰からも注意(警告)されることも無く、これから先もつづくことになる。

 当時は何でも自己流で自分勝手に漫画を描きまくっていたが、デビューする人たちの多くは、大体漫画家のアシスタントになって、直接に現場の空気吸いながらを、先輩諸氏から様々のテクニックを教えられ吸収していたのだ。

 そこから育った若手漫画家志望者たちと比べると、長い間、自分勝手に漫画を描いていただけの私との距離は、雲泥の差となっていたのだ。

 私が本当にその差を感じたのは、何と20歳を過ぎてからのことだった。これでは後の祭だが、この遠回りで私は少なくともデビューが10年は確実に遅れたと思っている。

 何でも自由にやるのはいいが、先人の知恵や知識を無視すると、後になって必ずそれが自分の身に振りかかってくることになる。好きなことをしてきたので仕方が無いが、その責任は誰でもない自分で取らねばならないのである。

 私も、結局はその代価を支払うことになった。

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