◆『百物語』  
NO.23




浦日向子女史の『百物語』(新潮社)である!
江戸情緒たっぷりの内容と絵柄がなんとも素晴らしい。
杉浦女史はこの作品で「88年度文春漫画賞」を受賞した。それだけ凄い作品ということだ。
杉浦女史は「月刊ガロ」(青林堂)出身だが、ガロは本当に多数の異色の漫画家を世に排出したと思う。
偉かったのは、(故)長井勝一氏で、彼の元から飛び立った漫画家は、多くが”文化人”になっている。
如何に日本文化に貢献した編集長だったかが分るが、この「百物語」は杉浦女史でなければこの独特のタッチの空間は描けなかっただろう。
今、杉浦女史は漫画家を廃業し、江戸文化研究家としてマスコミで大活躍している。
東京生まれの東京育ち、チャキチャキの江戸人の杉浦女史の活躍をこれからも願って止まない。■