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飛鳥昭雄の漫画家人生
第49回 手塚氏の漫画原稿(コピー)
 漫画家としての生活が長いと、様々な物が手に入るようになる。

 言いかえればそれだけ狭い世界ということだが、今回、非常に珍しい(故)手塚治虫氏の原稿(描きかけの段階)を紹介する。

 既に手塚氏の主線が入った段階で、背景が指定されている。

 ネームは当然、手塚氏の文字である。

 ロックが主役で、10ページ目の原稿のようだ。

 この段階でアシスタントの元に原稿が降りてくるわけだが、当時、手塚氏は一人でマンションの一室に閉じこもり、原稿のやり取りは、近くの事務所まで責任のあるアシスタントが受け持っていた。

 完成原稿は「手塚治虫展」などで見られるかもしれないが、原稿になる手前の段階というのは余程でないと残されない。

 その意味では、コピーではあるが、それなりにマニアには価値があると思われる。

 こういう物は、内部に知り合いでもいないと中々手に入らないだけに、言いかえればアシスタントには珍しくも何とも無いものだ。

 私も、いよいよ来年からPCを使って、スクリーントーン処理もデジタルで済まし、完成原稿もデジタル化したデータで編集部に納品するようになる。

 まだ主線や背景は手書きになるが、その内、背景ソフトが様々出る時代になるので、背景の処理も、描くのではなくはめ込むような時代になるのだろう。

 更に進めば、3Dで主人公を取り込み、様々な角度やポーズを作家が描かなくても、アシスタントがやるような時代になるだろう。

 アニメーションも、大掛かりなもので無ければ、審査が厳しいTV業界を無視し、アニメ会社にも任せず、作家のスタッフの段階でPCを使って造ったものを、DVD化して販売ルートに乗せる・・・・そういう時代がスグに来るかもしれない。

 まさに典型的手作業だけの職人芸だった漫画の世界も、一気にデジタル化の波を受けて進化するだろう。

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