◆『宙(そら)の名前』  
以前、このコーナーで紹介したことがある『空の名前』の続編『宙(そら)の名前』(光琳社出版)である。
既に光琳社出版は倒産したが、一連の自然シリーズは別会社に移転して発行されつづけた。
この『宙の名前』の写真家は林完次氏だが、日本人が名付けた様々な月や星の名称を映像化した本である。
たとえば、夕ノ項には「夕明かり」「黄昏(たそがれ)」「夕陽影」「宵闇(よいやみ)」「宵(よい)」「黄道光」「薄明」・・・・・等々、様々な夕刻の風景を捕えている。
この本を観賞していると、本当に日本人は表現豊かな感受性を持っていると思われる。
ある意味で世界から見たら女性的とも言えるほど表現力が豊かなのだ。
それが今では無残なほど破壊され、若者の言葉に深い意味合いを殆ど感じられなくなった。
言葉が上滑りしているだけで、ドライ(乾燥)な分だけウェットさが無い。
日本は心の内面から確実に崩壊している。
そういう中、こういう本を観賞すると心が満たされ、充電されたような気分になる。■

 NO.62