◆『大江戸物知り図鑑』
『大江戸ものしり図鑑』(主婦と生活社)である。
この本は、江戸を完膚なきまでに分類した電話帳ほどの厚さの本で、ヴィジュアルも多く非常に参考になる。
これを全て頭に叩き込めば、それだけで一端の江戸研究家になれそうだ。
第一部の「町と名所」では、大江戸案内から交通手段、市外配置もわかれば水道やゴミ施設も分り、江戸八百八町を隈なく紹介してくれる。
第二部の「社会と住民」では、町奉行が何をしていたかや、牢屋の仕組みから処刑の種類は恐ろしいが、一方では一般庶民の仕事や武士、商人の内情が分りやすく紹介されて非常に楽しい。
第三部では「住居と生活」として武家屋敷や町家、裏長屋にはじまって、井戸端や厠や台所が非常に分りやすく説明されている。
第四部の「慣習と人生」では、毎月の年中行事が細かくヴィジュアルで紹介されて分りやすく、信仰と迷信なども、これでもかというほど紹介してくれている。
第五部の「文化と趣味」では、狂歌や川柳に始り、絵草紙や錦絵、魚釣りから刺青まで幅広く網羅している。
第六部の「芸能と娯楽」では、定番の吉原から寄席、相撲、歌舞伎などの裏側が紹介され、実際の江戸時代にタイムスリップしたかのような錯覚さえ覚える。
第七部の「変貌」では、火事、流行病、大地震などが江戸で、どのように扱われていたかが詳しく分って参考になった。
江戸が大好きな人にとって、この本は絶対の必須アイテムであろう。■





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