サイエンス・エンターテイナー飛鳥昭雄公式サイト
関連本紹介



▲『飛鳥昭雄ミステリー大全』T
工学社より刊行。
飛鳥昭雄:著
2003年12月発売  

 



▲『飛鳥昭雄ミステリー大全』U
工学社より刊行。
飛鳥昭雄:著
2003年08月発売  
 



▲『飛鳥昭雄ミステリー大全』V
工学社より刊行。
飛鳥昭雄:著
2009年07月発売  
 
 超能力 第45回
 筆者の世代で「超能力者」といえばユリ・ゲラーである。イスラエル生まれのアシュケナジー系ユダヤ人のユリは、1974年に巻き起こった超能力ブームの火付け役である。
 2時間のスペシャル番組でやったことと言えば、フォークを一本曲げただけである。だが、フォーク一本の2時間は、視聴者に夢に酔うことの楽しさを教えてくれた。殆どの視聴者が、「こんな凄い人間が出てくる時代が来たんだ!」の感慨に胸打たれ、翌日の国会答弁で「日本列島を曲げることもできるのか」云々の言葉が出てくるほど話題を呼んだ。

 その後、ユリの番組を観た子供たちから、雨後の筍のように出てきたのが「超能力少年」だった。その筆頭が関口淳君で、後ろ向きに投げたスプーンが床に落ちたら曲がっていた…ので大きな話題になった。
 特に、野末珍平や中山千夏(元、衆議院議員)がレギュラー出演していた昼のワイドショー番組は、毎回というほど超能力少年を取上げ、物凄い視聴率を獲得していた。
 関口少年の他にも、山下裕人君や、学校の教師も人生祖壇に訪れる某宗教の子供教祖や、10円玉を手のひらで煎餅みたいにプレスする少女など、次々と不可解な能力を持つ少年少女が数多く登場し、週刊誌も話題に事欠かなかった。

 今を時めく超能力者の秋山眞人氏や清田益章氏も、その頃に前後して登場し、今も超能力者として活躍している。
 秋山氏はUFOに乗って火星に行ったと主張し、多くの企業で顧問をしている。清田氏はスプーン曲げ(切断)や念写を中心に活躍し、宗教団体を興すので教祖になってくれと札束を積まれたりしたが、話題の「パワースポット」の元祖として今も活躍中である。

 ユリが日本に巻き起こした超能力ブームは、「木曜スペシャル」(日テレ)で日本中にUFOブームを起こした矢追純一氏(当時はデレクター)によって仕掛けられた。当時の未公開の逸話は、4月に学研から発売された『「UFO超常現象対談」飛鳥昭雄×矢追純一』に洩れなく書かれている。この本は当時を知る者だけでなく、知らない世代にとっても必見の一冊になるだろう。筆者も、この対談に関われたことに感無量である。

 日本を捻じ曲げるほどの超能力ブームは、明治時代に起きた念力ブームと同じように、「週刊朝日」を筆頭にマスコミの一斉攻撃によって鎮静化してしまう。
 まず関口少年が体重をかけてスプーンを曲げたとして攻撃され、清田氏も力で曲げたとしてTV局から攻撃されたことで、日本中が一斉に超能力から目を逸らしたのである。要は付和雷同の横一列思想の典型で、一派一絡げで物事を決めつけてしまう国民性が露骨に出た事件だった。

 筆者も、当時「超能力と同じことが別の方法でも出来る」をキャッチに、漫画『ザ★超能力』を描いていたが、不思議世界を全面否定していたわけではない。その証拠に「超能力を完全否定していない」意味のコメントを冒頭に載せていたし、肯定する作品群を今に至るまで描き続けている。

 TVや週刊誌等の日本のマスコミは、利用する時は散々持ち上げるが、その後必ず落とすことを常にしている。落とす時も視聴率に反映させるのだから性質が悪い。
 今を時めく「Mr.マリック」もTV4に散々餌食にされた一人で、当初からマリックは「マジック+トリック」が名の由来と公言していた。
 にも関わらず、週刊誌などが魔術にトリックがあるのは許せないとバッシングを開始、一斉にネタばらしでマリックを攻撃し始めたのである。許せないのは、それで販売部数や視聴率を稼いだマスコミの態度で、魔女狩りのようにマリックを餌に稼ぎまくった後、使い捨てライターのように捨ててしまった。
 結果、しばらくマリックはマスコミから遠ざかり、顔面神経痛まで患ってしまった。が、しばらくして郵便配達人の栗田として地味に超魔術を見せて子供たちの関心を得、今の「来てます!」に代表される地位を獲得する。

 これらから見る限り、マスコミはネットが言うように「マスゴミ」なのかもしれない。
 天下のマスゴミが言うことなら間違いないという、今の「地上波TV信仰」にも通じる「マスゴミ神話」が誕生したのだ。が、このマスゴミという化け物は、既に戦前から日本では幅を利かせており、実際は負けている戦争でも「勝った勝った又勝った!」の合唱連呼で日本中を騙し続け、原爆2発を落とされてやっと大人しくなったはずだった。が、今でも霞ヶ関お抱えの犬として、恥ずかし気も無く再びマスゴミとして醜悪な顔を晒すようになっている。

(11/04/28)
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