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飛鳥昭雄の漫画家人生
第76回 漫画「地獄小僧」
 筆者が『ザ★超能力』を終えかけた頃、『地獄小僧』という作品を2作描いたことがある。

 その1作目が1990年の「コロコロコミック」(小学館)春の増刊号に掲載された。

 闇に隠れた地獄の仕切り人「地獄小僧」は、地獄ケ原に住む正義の味方で、誤って地獄に落とされた無実の人々を救い出す役目を担っている。

 表面上、閻魔庁は間違いを犯さないが、その前段階の六道鬼や脱衣婆などの判断ミスで地獄行きが決定してしまうことがある。

 それを正しに亡者の所へ訪れたり、シャバ界を往復して真相を確かめる。

 ところが地獄小僧のことは地獄でも秘密になっているため、地獄に巣食う鬼や魔物からも追い掛け回されるのである。

 味方からも攻撃される気の毒な主人公だが、テーマがどうしてもダークだったせいか読者の子供が怖がって2作だけで終了してしまった。

 この時代に育った子供たちは、なぜか精神が敏感な子が多く、恐怖を極端に避ける傾向があったように思える。

 『ゲゲゲの鬼太郎』は既に可愛くアイドル化していたので受け入れていたが、我々の世代は『墓場の鬼太郎』という恐ろしい水木作品を受け入れていたのだ。

 もし、あの頃の鬼太郎を、『地獄小僧』当時の子供たちに見せたら、おそらくは恐怖で引いてしまったと思われる。

 時代が変わってしまったといえばそれまでだが、当時の子供たちが、今、人が恐くて外に出られず、社会にも全く順応できない「ひきこもり」の中核になっている。

 そう思うと、漫画を通して複雑なものを感じざるを得ない。

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