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飛鳥昭雄の漫画家人生
第72回 ウーパーくん
 筆者はギャグ漫画も描く・・・・というより漫画家ならストーリー漫画もギャグ漫画もこなすのが普通だ。

 劇画家はほとんどそれができないし、やっても少しも面白くない。マッスル男が女装したみたいなギャグで、気味が悪いだけである。

 筆者は『コロコロ・コミック』の別冊だけでなく、月刊(本誌)の方にも作品を描いた事がある。作品の名は『ウーパーくん』。

 日本初公開のミステリー珍獣「ウーパールーパー(アホロートル)」をアニメ化するということで、筆者が漫画部門を受けもつ企画物だった。

 当時、『ザ★超能力』を連載していた頃で、幼年誌の中では硬い作品の漫画家だった。そのあすかあきおが、なぜにギャグ漫画を受け持ったかというと、これには裏話がある。

 筆者は第4回「藤子不二雄賞」で入選した漫画家だが、その後、『ザ★超能力』を連載中であったにもかかわらず、ギャグ漫画を藤子不二雄賞にもう一度別名で応募したのである。

 暫らくして、平山隆副編集長から筆者の自宅に電話が入った。

「私、小学館のコロコロ・コミックの平山と申しますが」

「ああ、平山さん!」

「え・・・・」

「どうしたんです?」

「・・・・・」

「私ですよ、あすかあきお」

「・・・・え」

「私です、あすか」

「・・・・・」

「なにか?」

「あ、そういうことか・・・・・」

 そこで2度目の賞は、ルール違反で逃がすことになったが、あすかはギャグも描けるとなって本誌連載の白羽の矢が飛んできたのである。

 しかし、この『ウーパーくん』は連載当初からトップ3に入るほど読者から人気を得たが、何と2作目で終ってしまうのである!

 その理由は一体何故なのか?

 未知生物のふれ込みで連載が開始されたウーパールーパーは、カラーグラビアでもコロコロ独占として大々的に写真公開された。ところがである、既に上野動物園にはウーパールーパーが飼われていることが判明したのだ。

 その結果、ウーパールーパーの企画そのものが小学館の信用問題まで発展し、筆者の漫画も一緒に消滅してしまった。

 筆者にとれば何が何だか分からない内に始まり、読者から圧倒的人気を得たにもかかわらず、泡のように終焉した実におしい作品だった。

 当時の編集担当者は、筆者に「申し訳無かったです」と謝ったが、このようなことは往々にしてあるものなのだ。

 おそらく、日本初公開のフレコミさえ無ければ、アニメも漫画も順調に進んだような気がするが、小学館に企画を持って来た会社が早とちりをしたため、全てがお釈迦になったというわけである。

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