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飛鳥昭雄の漫画家人生
第68回 タイフーン
 筆者が大阪にいた頃、心斎橋にあった会社に務めていたことがある。

 当時は、まだサラリーマンをしながら漫画家を目指していた頃で、仕事が終わった後、コツコツと漫画を描いていた。

 『タイフーン』はその頃(1978年)に描いた作品で、「月刊OUT」(みのり書房)の12月号発表できた。

 16ページの短編読みきりSFだったが、制作には半年近くかかっている。勤務しながらなので仕方が無いが、その分だけ丁寧に作ることができた。

 高校生の頃、大出版社で劇画調を求められていた影響で、劇画を描けるようになったので作品化した。

 が、時代は既に劇画全盛ではなくなっていた。前は「手塚調では駄目だ、劇画の時代なんだ」と言われたが、今度は「劇画はもう古い、これからはソフトな漫画だ」と言いはじめるのだから困惑してしまった。

 そこで、手塚調も劇画もアニメタッチも関係ない「コロコロ・コミック」(小学館)を選択したわけだが、今の「コロコロ・コミック」は繊細なペンタッチのアニメ風の漫画しか登場できなくなっている。

 今や幼年漫画の世界まで時代が浸透してきたということだろう。

 筆者は、短編読み切りを沢山描くことで、ストーリーを作るツボを知ることができたと思っている。これは漫画だけには止まらず、小説、ゲーム、映画などのツボに応用することができるものだ。

 このツボさえ体験を通して身に付ければ、エンターテイメントの世界で生きることが可能となると思われる。

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