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飛鳥昭雄の漫画家人生
第26回  怒りの惑星
 19歳の頃に描いたのが、絵物語「怒りの惑星」だった!
出版社に出す企画書として描いたものだが、今では何処に出したか忘れてしまった。

 作品が残されているところを見ると、ちゃんと戻してくれたのだろう。その出版社には感謝である。

 この当時、私はアニメーションの世界に入っていて、TCJ(現在はエイケン)の大阪の下請け会社で「サザエさん」を描いていた。

 その頃、早川書房が世界最初の大人用ハードカバーSFシリーズ、「世界SF全集」を刊行しており、そこに収録された一人のポーランド作家に私はのめり込んでしまったのである。

 そのSF作家の名はスタニスラフ・レム。
レムの書いた「砂漠の惑星」(砂の惑星ではない)は、それまでの宇宙征服型アメリカSFに慣れていた私に鮮烈なショックを与えた。

「宇宙には人類の征服できないものがある・・・・というレムのスタンスはショッキングで、その影響から「怒りの惑星」を作った。

 巨大宇宙船ノアが着陸した惑星は何から何までが異常で、人類の思惑や常識が一切通用しない天体だった・・・・結局、宇宙船ノアは惑星から脱出せざるを得なくなるのだが、同じレムの「ソラリスの陽のもとに(惑星ソラリス)」の終わり方とも同じになっている。

 それほどレム作品には惚れ込んだということだが、そのスタンスは今も全く同じである。

 ある意味、レムの描く崇高な示唆が私をクリスチャンにしたのかもしれない。
 この時のペンネームは「北祭昭吾(きたまつりしょうご)」たが、結局この名前は一度も使わずに今日まできてしまった。

 当時の私の漫画は、全て"ダンボ耳&馬面”になっており、描いた本人がそれに全く気付いていなかった。

 後に、「少年ジャンプ/増刊号」に掲載された自分の漫画を見て、初めて第三者的視点からそれに気付いたという次第。

 前に向って突っ走るばかりの若い頃というのは、自分を他人の目で眺めるということができないのかもしれない。

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