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※鳥山石燕 「画図百鬼夜行」
(田中直日蔵)より |
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日本の妖怪 のっぺら坊 |
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今回は「のっぺら坊」を取り上げてみたい!
別名を「ノッペラポウ」「ぬっぺら坊」「ぬっぺふぽふ」「ヌッペッポウ」とも言うが、最も有名なのはラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談』に登場する妖怪だろう。
最近、八雲研究が進み、『怪談』の殆どの設定や根幹に、ハーンが育ったアイルランドの背景があることが判明してきた。
とは言っても、のっぺら坊の起源はやはり日本であり、目、口、耳の無いヌンメリした顔が特徴の妖怪なのである。
中には今回の挿絵のように、顔らしい部分に皺のようにぼやけた線で表すだけのものもある。
闇夜でこいつを見たら確かにドキツとはするが、我々は驚きはしても別に取って食われるわけではない。
ではなぜのっぺら坊が怖いかというと、目も無いのに追いかけてきたり、口も無いのに喋ったり、耳もないのに受け答えしてくる点だろう。確かにこれだけでも相当に怖い。
以前何処かで「見猿聞か猿言わ猿」の三猿の裏読みに、見ざるが聞き喋り、聞かざるが見て喋り、喋らざるが見て聞く・・・というのがあったが、案外元は同じ所なのかもしれない。
三猿の譬えは、三匹で一セットという以上、見る役目、聞く役目、言う役目が本来の意味で、誰かがそれを皮肉って裏返したのかもしれない。
となると、どうしても三猿に「三位一体」が匂ってくる。いや三匹の猿が別々なので「三位三体」であろう。
実はこのことを匂わすのが「猿の毛は三本足らない」という戯れ話なのである。猿と人間は似ているが、知識や知恵の面で人間の方が毛が三本多い分優れていると言っている。
しかし毛の数を数えた者がいたとは何処にも記されていない。
むしろ猿の方が全身の毛は圧倒的に多いではずだ。それを頭だけに限定しても本当に人間の方が多いかどうかは分からない。なのに何故こんな言い伝えが残っているのだろうか?
それを、ただの譬え話に過ぎないと言うなら、譬えである以上、譬えられる対象が無くては譬えにならない。明確に言えば人間には三本の毛が立っていて、猿にはそれが無いということだ。
そうである。三本の毛はカッバーラでいう「三本柱」のことで、人間が救われるための「生命の樹」なのだ。
要はカッバーラは人間にしか理解できないことを述べているのである。
話をのっぺら坊に戻そう。
目耳口が無いと、それが一体誰の顔だか全く分からない。だから昔は顔を潰して身元を分からなくした殺人も起きた。
目耳口が無いことは正体を隠す意味があり、実際はイコールで顔が無いも同然となる。
つまり顔が無いということは頭が無いのと同じなのだ。
事例としては嫌だが、首無し死体も顔から被害者を割り出させないように行う犯罪行為である。
じつは古代日本の都市構造は碁盤の枡目構造ではなく、元は全て「人形〔ヒトガタ〕」だったことが分かっている。つまりは奴凧構造のことだが、何故か古代の都市構造は必ず首の無い「T型」をしているのだ。
正確には首の部分に山を置く配置で都市が出来ている。山とは三つ峰の三本柱構造である以上、山は神を表している。つまり顔の部分を示すわけだが、T型都市構造から見れば神の名を山に譬えて隠す構造となる。それは神の目口耳を無くしたことと同じである。
「藤原京」になると更に露骨になる。T型都市構造の真北に顔の部分の「耳成山」が来るが、同音で「耳無し」となる。そして耳成山に流れる川を「目無し川」と呼び、耳成山の別名が「梔子山〔クチナシヤマ〕」なので「口無し」となる。
つまりはのっぺら坊なのだ!
人形は雛人形の原型であり、その由来は、自分の「災い事」や「忌み事」の身代わりをさせることだ。つまり贖罪なのである。
日本では贖罪をした神の名は隠されている、それが日本のカッバーラであり、新たな命を与える生命の樹で、鏡に写った神の顔が掛けられる榊となる。
目口耳の無いのっぺら坊の正体とは、生命の樹であり隠された神の名を示す象徴となる。図解にあるのっぺら坊などは、むしろ巨大な顔(頭)だけの妖怪で、手足は後で付け足した程度しか見えない。
このように日本の妖怪の多くは、得体の知れない不思議な物、怪奇な物、理解できない物のカッバーラが具象化したものになっている!■ |
1:ろくろ首 |
2:提灯小僧 |
3:天狗 |
4:鬼 |
5:一つ目小僧 |
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6:河童 |
7:九尾の狐 |
8:鵺(ヌエ) |
9:猫又 |
10:龍 |
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11:のっぺら坊 |
12:人面樹 |
13:足洗い屋敷 |
14:狸 |
15:送り拍子木 |
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16:灯りなし蕎麦 |
17:片葉の葦 |
18:おいてけ堀 |
19:落ち葉なしの椎 |
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